大学、高専など、高等教育の教育方法の改善にマルチメデイア教材の開発が期待されているが素材の入手や教材化のための構成法について、手法が確立していないところに問題がある。 これまでに作成されたマルチメデイア教材のうちのいくつかは、既存の映像教材を基にしてマルチメデイア化して成功している。既存の映像教材をマルチメデイア化するさいには、教材の構造は既存教材の構造を用いるとしても、マルチメデァアの特徴である学習者主導の探索型教材に変換するには、多くの素材を新たに追加する必要がある。 本研究は、学術映像資料の共同利用による高等教育のためのマルチメデイア教材開発支援システムを構築することを目的としているが、まづ、既存教材の構造の分析手法と構造の表現法を開発する必要がある。 平成3年度は、高等教育におけるマルチメデイア教材開発支援のための基礎デ-タを得るために、(1)放送大学の授業番組で使用された各種の映像音響資料を、動画、静止画、文献資料に分類し、完成教材番組中での専門分野別、使用形態別に整理した。(2)完成教材の構成を明らかにするために、場面のショットごとにわけ、画面やナレ-ションに出現するキ-ワ-ドを抽出し、抽出したキ-ワ-ドによりショット間を関係づけ、教材の構造を表示する手法を考案した。(3)ショットの検出をビデオフレ-ム間の相関関係を利用して電子的に自動的におこなうシステムを開発した。(4)放送大学の一つの授業番組を代表例としたマルチメデイア教材を試作するために前記手法を用いて構造図を作成し、これに基づいて新たに素材を追加したビデオデイスクを試作した。今後、このデイスクをもとに、マルチメデイアオ-サリングシステムに組み込むことによって、授業番組等の既存の完成教材のマルチメデイア化手法の有用性を検証する。
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