研究概要 |
本研究では社会科の本質に関する先駆的理論を構築したHarold O Rugg(1886ー1960)の社会科教科書シリ-ズであるSocial Science Pamphlets及びman and Changing Society を取り上げ,Rugg社会科の基本原理について考察することをねらった。RuggはA.Flexnerの近代カリキュラム論を継承し、独自にカリキュラムのスコ-プを示しているが、社会科については人々の共存を鍵概念とし、これに係わる内容を次の5頃目として示している。すなわち1、食衣住,食料生産、工業生産、通商、2、民主主義摩3、余暇の利用、4、自然環境及び天然資源と居住の関係、5、コミュニティの生活。これら社会科の要素内容がRuggの社会科教科書の骨格になっいいる。 Ruggは教科書においてアメリカ社会を総合的に記述し、その社会的、教育的再建をねらっている。そのため、「生きた人間」を描くとともに、社会の記述に当たっては現状とともに歴史的背景を叙述している。その際、経済生活の概念、政治生活の概念、人口、人種、総合及び都市化の概念、国際関係の概念、文化生活の概念等「変化する文明の基本的概念」を導入することにより、アメリカ社会の構造的把握を図り、あわせて望ましい態度の育成を目指している。 上記のねらいを達成するため、Ruggは現代社会の諸問題を人間生活との関連によって解決していくことができるように「活動単元」を設定して問題の解決に当たるようにする。かくして、Ruggはコミュニティにおいて生徒が学習問題を提起し、それを解決することを学習の出発としている。問題の解決に当たっては総合的な側面からアプロ-チすることになるが、これはRuggの知識の統合についての考え方に基づいていると考えられる。この考え方実際において社会の分裂を阻止し協調と統一へ向けられた社会の再建をねらうことになっている。
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