研究分担者 |
井上 昭彦 北海道大学, 理学部, 講師 (50168431)
新井 朝雄 北海道大学, 理学部, 助教授 (80134807)
中路 貴彦 北海道大学, 理学部, 教授 (30002174)
岸本 晶孝 北海道大学, 理学部, 教授 (00128597)
上見 練太郎 北海道大学, 理学部, 教授 (10000845)
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研究概要 |
時系列を解析する伝統的方法は,統計物理学的方法を真似て,天下り的にモデルを立てそれを統計的に分析する.因果関係は,時系列の内部構造と密接に関連するので,天下り的にモデルを立て,それに基づいた因果関係を論じても何の説得力を持たない.申請者と協同研究者は,今までに,多次元弱定常過程の局所理論であるKM_2O-ランジュバン方程式の数学理論を建設し,時系列の解析への応用として,気象データ・経済データに定常解析と因果解析を行ってきた.因果解析の一般論はNagoya.Math.J.に投稿中である.気象・経済等に於ける具体的なデータに対する実証分析の仕事は現在論文としてまとめている. 今年度,申請者は,WienerとMasaniによる非線型予測問題の研究以後,確率論で長年懸案であった強定常過程の非線形予測問題をアルゴリズムを求める形で解決し,日本数学会のジャーナルに投稿中である.その理論を実際の複雑系に於けるデータに応用して,その背後にある非線形性を調べて,複雑系のダイナミックスを探り,将来を予測する方法を呈示する事ができた. これにより,多次元弱定常過程の局所理論としてのKM_2O-ランジュバン方程式の理論は定常解析・因果解析・予測解析の三つの部分から成り立つようになり,非線形現象・複雑系の研究にも有効な様相をみせてきた. 具体的には,与えられたデータに対して,非線形予測問題の解決によるアルゴリズムを用いて,いかなる非線形変換を取ったときに,その見本エントロピーが最小となるかを調べることと見本因果関数を描くことによって,データの奥に潜むダイナミックスをランジュヴァン方程式の立場から探り,その将来を予測する.
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