今年度の研究の概要は大きく二つに分けられる。 第一は分光素子評価システムの整備である。主に分散されたX線像を検出する為に、2種類のX線撮像型検出器の開発を行なった。最も基本的なものとして、まず2次元位置検出型ガス比例計数管(1ミリピッチのワイヤ-グリッド3段)を製作した。銅の特性X線(8keV)に対し位置分解能0.4mmが得られた。また、真空内での使用可能性も試験した。これらの測定には、新たに購入した波高分析器を使用し、同時にGPーIB Interfaceでパソコンで回転テ-ブルと連動させるシステムを構築した。次に、高い位置分解能とエネルギ-分解能を持つCCD(可視光用のCCDガス窓取り外し)を入手し、これを真空中で動作させるためのシステムを準備した。特に、真空中で移動することが可能な冷却系の実現に努力をした。ここでは、外部固定真空フランジを循環水で10℃に冷やし、金網の熱伝動でペルチェ素子の高温側から熱を伝動で抜き取る。ペルチェ素子の冷却作用により、低温側では-30℃が実現され、CCDの実用化が可能になった。 第二は分光素子の設計と試作である。素子の一つとして考えた、金属多層膜で希望するものに近いものが入手でき、その測定を現有の設備(10mX線ビ-ムライン、回転テ-ブル、ガス比例計数管)に若干の手を加えて行なったところ、測定結果はほぼ予想どうりであった。反射型回折格子については、標準的な素子の測定を軌道放射光(応崎分子研UVSOR)で行ない、これらの結果を、今後の設計に生かしたい。
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