研究課題/領域番号 |
03452013
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
國枝 秀世 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00126856)
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研究分担者 |
田原 譲 名古屋大学, 理学部, 助手 (10135296)
山下 広順 名古屋大学, 理学部, 教授 (80022622)
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キーワード | X線分光 / X線天文学 / 輝線スペクトル / 反射型回折格子 / 多層膜 / マイクロチャンネルプレート / 非面照射法 |
研究概要 |
今年度の主な成果は以下の3点にまとめられる 1。多層膜回折格子の性能測定 昨年度入手し、多層膜を蒸着した回折格子の測定を詳しく行なった。まず、分子科学研究所の軌道放射光において、分光器を通した光を用い、固定した入射波長に対して反射率の入射角依存性を測定した。反射光の全てを測定するこの場合には、多層膜としての反射率とほぼ同じ効率が得られた。次に、入射波長と角度を固定し、出射光の角度分布を測り、回折の効果を確認した。以上により、この素子が、回折格子としての分散性能と、多層膜の高い効率を合わせ持つことを確認した。 より高いエネルギーでの効率を確認するために、我々の実験室で銅のK-X線(8keV)の測定を行なった。まず、すべての反射光による反射率と入射角度の測定で、1.08度に対し約20%の反射率があることを確認した。この反射光の中で一次光は、ゼロ次の10%(入射光の2%)の強度が得られた。これは8keVという高いエネルギーに於ける回折格子で最初の測定結果であり、現在投稿論文を準備中である。 2。Off-Plane Mount法の準備 前項の測定はOn Plane Mountで行なったが、中程度の集光精度を持つ光学系では、Off Plane Mountにすることが必要となる。そのため、回転台を組み合わせて駆動するシステムを整備した。更に、2次元的に現われる回折像を捉えるために、マイクロチャンネルプレートを立ち上げた。これを用いたOff Plane Mount法の回折像撮像実験が年度内に間に合わなくなったので、この結果を含めた報告を最終的に行なう。 3。集光鏡の設計 1999年度打ち上げ目標の次期X線天文衛星ASTRO-Eでは、主観測装置としてこれまで我々が手掛けて来た、多重薄板望遠鏡が搭載されることになっている。衛星自身の制約、焦点面検出器の構成などに合わせた最適設計を進めながら、本研究課題で開発している多層膜回折格子を搭載するとしたらどんな可能性があるか検討を行なった。
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