研究課題/領域番号 |
03452025
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木下 修一 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (10112004)
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研究分担者 |
笠原 勝 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30001697)
八木 駿郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30002132)
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キーワード | フォノン / 誘導ブリルアン散乱 / 非線形分光 / ソフトモード / 相転移 / 強弾性体 |
研究概要 |
光パルス誘導ブリルアン散乱(ISBS)を用いて物質中にフォノンを励起させ、生じたフォノンをプローブ光の回折で調べる新しいフォノン分光法を開発した。フォノンの発生には連続発振(CW)モード同期QスイッチYAGレーザを用い、プローブにはCWアルゴンレーザーを用いた。CW光をプローブを用いると、非常に低周波のフォノンの観測が実時間で測定できるという利点があり、周波数領域での高分解能の測定もできるなど本研究課題であるソフトモードの観測には特に都合の良いことが分かった。このシステムを用いて、フォノンの発生過程、フォノンの伝播過程など発生したフォノンの基本的な性質を調べた。特に励起する光をフォノンの振動周期させるとその振動周期をもったフォノンだけを選択的に励起できることが確かめられた。ISBSを用いて、液体中の音波、金属の表面波の測定、液晶についての測定を行い有用性を確かめた。音響型ソフトモードの研究はKD_3(SeO_3)_2結晶の強弾性相転移について調べた。この結晶はC_<66>モードがソフト化する事が分かっており、また、弾性歪と水素の運動の揺らぎとの間に何らかの結合があることが知られている。そこで、相転移点のごく近傍について、レーザー光により揺らぎの観察やISBSの測定を行った。その結果、結晶の臨界的に揺らぎがレーザーの偏向により転移点以上でも感度良く測定できることが分かった。またISBSは通常の光散乱が困難な低波数領域での測定を行ったが、通常のフォノンの振動は見られず揺らぎの大きな信号が得られた。これらの結果は特にソフトモードの低波数領域の振る舞いを示すものとして興味深い。
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