研究課題/領域番号 |
03452026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小松原 武美 東北大学, 理学部, 教授 (80004331)
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研究分担者 |
酒井 治 東北大学, 理学部, 助教授 (60005957)
佐藤 憲昭 東北大学, 理学部, 助手 (30170773)
澤田 安樹 東北大学, 理学部, 助教授 (90115577)
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キーワード | セリウム化合物、 / 重い電子系、 / U_3P_4、 / 希釈冷凍機、 / 核断熱消磁、 / キャパシタンス・ブリッジ、 / 基底状態、 / ド・ハ-ス=ファン・アルフェン効果 |
研究概要 |
重い電子系のセリウム化合物を、100μK以下の温度に冷却し、高磁場中で熱膨張係数と磁歪の精密測定を行い、電子系の秩序状態の存在を調べ、重い電子状態の基底状態を解明することが研究目的であった。具体的には希釈冷凍機の下に銅の核断熱消磁装置を準備し、発熱の少ないキャパシタンス・ブリッジを用いて、微少な試料の長さの変化を測定する。 実験遂行上最も重要な、核断熱消磁用の超伝導マグネットの納入に時間がかかり、核断熱消磁冷却を行うまでには至っていない。しかし、希釈冷凍機が完成し、2段目の14.5テスラの超伝導マグネットも順調に働くようになった。さらに、交流磁化を測定するシステムやキャパシタンス・ブリッジ等の準備も整ったので、温度は計画段階よりも高い状態ではあるが、重い電子系のひとつであるU_3P_4のフェルミ面を調べた。 U_3P_4は、立方対称Th_3P_4型の結晶構造をもち、137Kで強磁性に転移する半金属の物質である。この物質のフェルミ面は測定されているが、磁気抵抗の測定から期待される開いた軌道の信号が観測されていなかった。我々が開発してきた装置は、温度や磁場の均一度の点で有利な条件にあるので再測定を行った。 測定の結果、有効質量20m_0で、大きな極値断面積をもつ、新たな開いた軌道のフェルミ面が観測できた。現在、このフェルミ体の模型を組み立てる作業を進め、同時にバンド計算も始めた。したがって、まもなくU_3P_4に関する伝導電子の重量増大の機構を解明できる。
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