研究概要 |
極めてキャリヤー数の少ないf電子系プニクタイトにおいて、異常な磁性を示すCeモノプニクタイトでは、超高圧下での総合的解明の著しい進展があった。即ち圧力下における電気抵抗、ホール効果、圧力下でのフェルミー面の変化の測定も併せて行はれた。参照系のLaモノプニクタイトでは、圧力によってフェルミー面は増加する通常の効果を示すが、Ceの場合はむしろ減少し、明らかにf電子の異常な効果を観測した。圧力下での中性子散乱及び回折では、結晶場の圧力変化と磁気構造の圧力下の転移を明らかにした。一方超高磁場の磁化の測定がCePについて60T迄行われ、10ケ近い多段のステップ的増加が、伝導電子のランダウ準位がフェルミー準位を横切る時と同期して観測された。この類例のない現象は多くの注目をあつめている。又超音波ドハース効果によって懸案であったCeSbの一番大きなフェルミー面の観測に成功しp-f混成理論の正さが実証された。またLaAsの純良単結晶作製に成功しキャリヤー数が10^<-4>のオーダーであることが判明し、量子極限状態が利用出来る磁場範囲で実現出来る見通しがついた。このようにCeモノプニクタイトは急速に国内外の共同研究が発展した。一方キャリヤー数の少ない系で重い電子状態を実現している点に特徴のあるYbモノプニクタイトでは、YbAsのドハース効果では1より小さい有効質量の電子と一個の正孔が観測された。しかし極低温比熱で得られたおおきな電子比熱係数を説明することは出来ず、質量増強因子数千に及ぶ他の正孔の存在が間接的であるがあきらかにされた。このような大きな増強は金属的な物質には存在しない。少数キャリヤー物質に特徴的なこととして浮上してきた。またキャリヤー数が極端にすくなく、低温においても磁気秩序を示さないYb4As3での、低温の諸性質が明らかにされた。最も衝撃的な物質の発見はキャリヤーの存在しないSm3Se4,Sm3Te4での重い電子状態の発見である。これは重い電子状態をつくるのにもはやキャリヤーは必要ないことを意味し、従来の考えに重要な変革をせまるものである。
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