研究概要 |
希土類化合物やウラン化合物におけるf電子系では、伝導電子との強い混成効果のため、低温でヘビ-フェルミオンと呼ばれる極めて有効質量の重い多体電子状態が出現する。この様な強い電子相関で特徴ずけられるヘビ-フェルミオン系の基底状態は多様であり、我々の理解はその入り口に到達したに過ぎない。本研究の目的は、ヘビ-フェルミオン系や価数揺動系のギガヘルツ帯域までの超音波測定を行ない、これらの系に特徴的な磁気音響効果を解明することにある。本年度では、まず第一に、ヘビ-フェルミオン系CeCu6,希釈系CexLa1ーxB6、価数揺動系SmB6,Sm3Se4などの超音波測定を行なった。特に、SmB6ではZnO圧電薄膜を用いた0.5GHz領域までの高周波超音波測定に成功し、この物質に特有なエネルギ-ギャップをもつ4f電子状態とバルクモヂュラスC_bとの相互作用を解明した。第二には、希釈冷凍機を用い、極低温(20mK)領域でのヘビ-フェルミオンCeB6の音響的dHvA効果の測定を行ない、スピン分裂した2枚のρフェルミ面の構造を決定した。第三には、2軸ゴニオを装備した3Heクライオスッタトをもちいた音響的dHvA効果の研究にも大きな進歩が見られ、LaB6,LaSb,LaSn3におけるフェルミ面上の電子と歪みとの相互作用の特徴が明らかとなった。この研究により、音響的dHvA効果による電子一歪み相互作用の研究手法が確立されたと考えられ、その意義は大きい。
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