研究概要 |
本研究は、申請書で述べたように、スピンを選別したメタステーブル原子と固体表面の相互作用(メタステーブル原子の脱励起過程や電子放出過程)について詳細な知見を得ることを目的とした。本研究の具体的な成果は以下の通りである。 (1)He^*(1_S2_S)の2種の状態、2^1Sと2^3Sを選別する原子源を設計試作し、さらに後者を不斉磁場でサブレベルまで選別する装置を設計試作した。 (2)試料を極低温まで冷却させるために、クライオスタットを導入して試料周りの設計試作を行い、試料温度〜10Kを達成することができた。 (3)He^*(1_S2_S、2^3S)とLaCoO_3の衝突系等を対象として、放出電子スペクトルを測定士、光電子スペクトルとの比較を行った。その結果、He^*はこの表面でペニングイオン化過程を経て脱励起すること、またスペクトルには、主バンドがほとんど検出できない程弱いにもかかわらず、サテライトバンドが極めて強調されて観測されることなどが分かった。サテライトバンドの強調現象は初めての発見であるが、始状態における電子配置間に遷移金属原子間に作用する電荷のゆらぎを導入することによって説明することができた(Phys.Rev.Lett.71,4217,1993)。
|