研究課題/領域番号 |
03452034
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
飯尾 勝矩 東京工業大学, 理学部, 教授 (20016132)
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研究分担者 |
加藤 徹也 東京工業大学, 理学部, 助手 (00224519)
永田 一清 東京工業大学, 理学部, 教授 (00013491)
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キーワード | フアラデー効果 / スピングラス / 競合磁気系 / 磁気相転移 / ランダム磁場効果 |
研究概要 |
この研究は、複数の相互作用が競合する体系の相転移において形成される秩序構造のダイナミックスを解明することを目的としている。実験的には、特にスピングラスに代表される混晶系試料のマクロな不均質性を極力排除する手段、および、逆にその不均質性が如何にダイナミックスに関わってくるかを明かにする実験手段として、顕微フアラデー回転法の確立と完成をめざしている。主要装置として光学用超伝導電磁石を研究計画の初年度、フアラデー回転用顕微鏡システムを2年目の本年度に購入した。現在はこれらを組み合わせる作業を進めている。まだ、装置の完成には至っていない。しかし、最終年度の平成5年にはこの装置を用いて典型的データの測定と、研究のまとめを行う予定である。ここでは、今年度に得られた関連研究の実績を以下に報告としてまとめる。 1.フアラデー回転効果による磁化測定の原理に関して磁性イオンのミクロなエネルギー順位に着目して、六方晶AX_2型(A:磁性イオン,X:ハロゲンイオン)反強磁性体について典型的なデータをとり、また、解釈をおこなった。 2.Fe_<1-X>Mg_XCl_2のランダム反強磁性系において、磁化の磁場処理効果(ゼロ磁場、磁場中冷却など)に特徴的履歴現象を見出した。そのメカニズムをランダム磁場効果として解釈した。 3.MnX_2(X=I.Br)のような複数の相互作用が競合する系で、われわれが見いだした1次相転移を伴う逐次転移の秩序化について、中性子回析による構造決定とそのメカニズムに対する解釈を行った。特に中間相における非整合スピン構造の同定の伴って明かになったスピンダイナミックスは、非整合性の新しい側面を捉えたことになり、今後の興味深い緩和現象の研究対象となるものである。 これらの3件は、日本物理学会年会(1993年3月仙台)で発表する。
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