研究概要 |
一次元整数量子スピン系の基底状態と励起状態の間には、半整数スピン系と違ってエネルギ-ギヤップが存在するというハルデンの予想と呼ばれる問題について、以下のような結果を得た。 1)NINO,NENPという理想的な物質の製作を行い、メ線、磁化測定による測定を行いこの物質についての基礎評価を行い、ギャップの測定を行った。この他新たにNINAZ,TMNINといった大きく前者と交換相互作用パラメ-タ-,Jの異った物質の磁化測定を行いギヤップの測定を行った。これによりギヤップが0.4Jであることを実験的に明らかにした。 2)TMNINについてS=1一次元鎖のゼロ磁場から飽和を越える磁場までの広い磁場範囲の全磁化過程を測定し理論との比較を行った。 3)スペクトルによる測定の1つとして、ESRを観測し、エネルギ-ギヤップの正確な値を決めるとともにミクロな立場からのモデルを提案し、確認をした。この測定をもとに磁化測定からのギヤップの決定の精度を上げる方法を確立した。 4)ハルデン物質に不純物としてCu^<2+>イオンを導入したサンプルを用いて、不純物効果を実験的に明らかにした。特にCu^<2+>の導入により、今まで磁化に寄与していなかった基底状態のNi^<2+>が磁気モ-メントのエンハンスメントにかなり大きな寄与をしていることが見い出された。この効果も我々のモデルで良く説明出来ることを確認した。
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