研究概要 |
我々は、電子移動度が高く、また“永久光伝導"の変化割合も大きなInをドープしたPb_<1-X>Sn_XTe(X=0.25)単結晶基板上に、Pb単独のフィルムよりは、粒界が細やかで膜質が良く微細加工に適したPb,In,Au積層超伝導フィルムを電子ビーム露光の技術を用いたサブミクロン加工により、超伝導状態の侵入距離と同程度に人工的に隔てられた様々な超伝導体間の間隔をもつ超伝導フィルムからなる超伝導-半導体複合素子を製作し、その素子の超伝導特性の光照射による変化を試みた。本研究では従来と比べて特に、超伝導電流以外の漏れ電流を出来るだけ少なくするため、電極ならびにギャップ付近以外の超伝導フィルムと半導体基板の間に、絶縁体であるSiO膜をはさんで絶縁した素子を作製した。超伝導フィルムの間隔を0.3〜0.2μmにした素子では4.2Kの低温でその電流-電圧特性にジョセフソン結合特有のヒステリシスを観測した。さらにこの素子に光を照射すると、臨界電流値(抵抗が急激に増加する電流値)が照射量につれて増加することを見い出した。これらのことより、我々は超伝導体-半導体-超伝導体微小接合素子において、その超伝導特性を外部からの光照射により制御することに成功したものと思われる。 またこの研究費で購入した超高精度キャパシタンス・ブリッジを使用することにより、我々は以前より研究してきた2次元電子系電子系における量子ホール効果状態下での“エッジ状態"について、従来とは別の角度から研究した。その結果、この2次元電子系とゲート電極間の磁気電気容量は、従来から主張されてきた2次元電子系の状態密度に比例するのではなく、試料のエッジの長さにより決まることを発見した。この結果を利用して、従来測定することが困難であった、エッジ状態の幅を見積もった。
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