研究概要 |
1.[N(CH_3)_4]_2ZnBr_4(以下Zn塩と呼ぶ)の単結晶を作成し,誘電率を300Kから100Kまでの広い温度範囲にわたって測定した.その結果,[N(CH_3)_4]_2CoBr_4塩(以下Co塩と呼ぶ)の場合と似ていて,a,b,cの三つの軸方向でそれぞれ特有の温度変化を示すことを見いだした.このZn塩の実験結果は,Co塩と同様に,結晶中に二つの副格子があり,それぞれのオーダー・パラメータの温度依存性が異なるというフェリ歪結晶モデルを使うと,合理的に説明できることが分かった(1992年春の物理学会で発表) 2.Zn塩の単結晶の相転移を偏光顕微鏡で観察した.その結果,単斜晶角βの90゚からのずれ△β〓β-90゚が0になる温度Tzにおいて,aウォールやcウォールのような直線状のドメイン・ウォールは変化しないが,aウォールとcウォールが直角に交わった直角ウォールは,明暗が逆転することを見いだした.この結果をフランスで開かれた「ドメインに関する国際会議」で発表したところ,大きな関心を呼んだ. K2S04の単結晶を作成し,室温296Kと極低温15Kにおいて構造解析を行った.オフセンター型の4軸回折装置に,Heクローズド・サイクル極低温冷凍器を取り付けて,試料を冷却した.極低温において,異常な回折図形を一度観測したが,現在その再現性を調べているところである.
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