有機伝導体の高周波電気伝導

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03452046
• 研究機関: 東邦大学
• 研究代表者: 梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
• 研究分担者: 西尾 豊 東邦大学, 理学部, 助教授 (20172629)
• キーワード: 高周波電気伝導 / α-(BEDT-TTF)_2I_3 / 金属-非金属転移

研究概要

今年度は、高周波電気伝導度の測定を続けると同時に、直流電気伝導度の測定を行って、高周波領域でみられる電気伝導の異常に周波数依存性があるかどうかを調べた。そのために、モンゴメリー法と呼ばれる電気伝導度測定法を採用した。金属-絶縁体転移温度前後でa-軸、B-軸方向の電気伝導度を同時に詳細に測定した。
その結果、転移温度直上における電気伝導度の異方性の異常は周波数には依存せず、直流伝導度にもあらわれることが明らかになった。更に、この物質の金属-非金属転移が単純ではないことがわかった。すなわち、絶縁体転移温度の約0.5K程下の温度で、電気伝導度の異方性が変化する現象が見つかったのである。
二番目に、圧力印加をした状態における金属-絶縁体転移の研究を行った。この物質の金属-絶縁体転移は圧力を印加する事によって抑制されることがしられている。この時、転移の様子がどう変化するかが興味の対象である。圧力下にある試料についてもモンゴメリー法による異方性の変化を調べた。
更に、高圧力下で絶縁体転移が抑えれれている系に磁場を印加すると絶縁体転移が復活することを見つけていたのであるが、今年度はホール効果の測定を行い、いくつかの新しい知見を得た。第一に、磁場によって誘起された絶縁体相では電荷坦体の濃度が低下していることが明らかになった。第2に、坦体濃度に大きな磁場依存性があることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] T.Mishima,K.Kajita,O.Kanke,Y.Nishio,H.Kobayashi,A.Kobayashi,R.Kato,M.Kobayashi: "The Metal-Insulator Transition in the Organic Conducter α-(BEDT-TTF)_2I_3" Synthetic Metals.
• [文献書誌] K.Kajita,T.Ojiro,H.Fujii,Y.Nishio,H.Kobayashi,A.Kobayashi,R.Kato: "Magnetotranspont phenomena of α-(BEDT-TTF)_2I_3 under High Pnessures" J.Phyo.Sac.Jpn.61. 23-26 (1992)
• [文献書誌] T.Ojino,K.Kajita,Y.Nishio,H.Kobayashi,A.Kobayashi,R.Kato,Y.lye: "An anomalons Magnetoresis tance in α(BEDT-TTF)_2I_3 under High Pressure A Possible New Phase." Physica B.
• [文献書誌] T.Ojino,K.Kajita,Y.Nishio,H.Kobayashi,A.Kobayashi,R.Kato,Y.lye: "A Nuo Magneto-Pressune Phase in α-(BEDT-TTF)_2I_3" Synthetic Metals.