研究概要 |
市販半導体レ-ザ-の窓をはずし,半導体レ-ザ-の出力面にSiOをコ-トすることによって良質の反射防止膜ができた。このように半導体レ-ザ-の片端面に反射防止膜をコ-トすれば任意の外部共振器を構成して,種々のレ-ザ-発振を行わせることができる。本研究では外部共振器長と同期した周期的パルス電流注入により,半導体レ-ザ-のモ-ド同期を実現した。この際将来予定している,その出力パルスの増幅や,分光実験への応用における便宜のため,半導体レ-ザ-のモ-ド同期パルス間隔を10nsecとした。半導体レ-ザ-のモ-ド同期に際して,このように大きなパルス間隔をとると緩和発振によるサテライトパルスの発生が問題となるが,コムジェネレ-タ-を使用することによって注入電流パルス幅を100psec〜200psecとすることで,その発生を最小限におさえた。現段階でパルス幅10psec,パルスエネルギ-10pJのモ-ド同期パルス列を得ている。今後はこの出力パルスの増幅を計画している。 一方この研究と並行して,多モ-ド半導体レ-ザ-やス-パ-ルミネセントダイオ-ドを励起光源する,インコヒ-レント光フォトンエコ-の研究も行った。この方法は超短光パルスを用いることなく,広いスペクトルを有する光を励起光源とすることによって,そのスペクトル幅の逆数で与えられる高時間分解能が得られるものであり,従来より広いスペクトル幅を有する色素レ-ザ-を励起光源として比較的容易に100フェムト秒オ-ダ-の高時間分解能で位相緩和時間が測定されていた。今回我々は,その光源を半導体素子である,多モ-ド半導体レ-ザ-やス-パ-ルミネセントダイオ-ドとすることが可能であることを示し,それが単に簡便なだけでなく,信頼性の高いものであることを実証した。
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