本研究の目的は、従来大規模な装置を必要とした超短光パルスレーザーを、小型・軽量な半導体レーザーを用いた簡便な装置で実現することおよび光半導体素子を用いた新たな超高速分光法を開発することにあった。以下にその成果を箇条書きにまとめる。 1.市販半導体レーザーの窓をはずし、その出力面にSiOをコートすることによって、良質の反射防止膜を得た。 1.反射防止膜をコートした半導体レーザーに対し、外部共振器を構成して、パルス電流で同期励起することによって、モード同期発振を実現した。得られた出力は、パルス幅10PS、パルスエネルギー10PJ、繰り返し周波数100MH_Zであった。 1.上記によって得た超短光パルスを、QスイッチYAGレーザーの第2高調波で励起した色素セルで増幅することを試みた。パルス幅30PS、パルスエネルギー10PJの半導体レーザー出力パルスを繰り返し周波数約1H_Z、パルスエネルギー30mJのQスイッチYAGレーザーの第2高調波パルスで励起した色素セル増幅器を用いて1段増幅で約10^6倍の増幅率を得た。増幅後の光パルスのパルス幅は約40PS、パルスエネルギーは40mJであった。 1.インコヒーレント光フォトンエコーの光源として、多モード半導体レーザーや、スーパールミネッセントダイオードを使用し、簡便な光源で100フェムト秒オーダーの時間解能が実現できることを示した。 1.非レーザー光源である発光ダイオードを用いて初めてインコヒーレント光フォトンエコーを観測し、非レーザー光源がフォトンエコーに使用可能であることを示した。
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