研究概要 |
本研究の最終目標は,GPS干渉測位法を用いて千島弧と東北日本弧の接合部の地殻変動を解明し,そのテクトニクスの意味を探ることである。初年度の今年は,基幹観測点6点の設置を行ない,第1回目の観測を実行した。北海道側は,札幌,帯広,えりも,上の国の4点,東北日本側には,弘前,階上の2点を設置した。9月,11月と予備的観測を実施し,平成4年2月〜3月にかけて全点での本格的観測を継続している。北海道大学と東北大学の所有するGPS受信機は異なるメ-カ-のものであり,両者のデ-タを解析するために,東北大学所有のスイス・ベルン大学が公開しているベルニ-ズソフトウェアによる解析をすすめている。異なる受信機によるデ-タ解析を評価するために,強前とえりもにおいてはそれぞれの受信機による重複観測を行なっている。同一機種間の基線解析を行ない,それぞれの機種の比較と異機種間の解析結果の比較をすすめている。それらの差のないことを確認した上で,現有の受信機を,基幹観測点からなる観測綱(200km間隔)の間を埋める観測点を4〜5点設定し臨時観測を展開する予定である。これにより,〜100kmオ-ダ-の変動を観測できるものと思われる。次年度,次々年度とこれらの観測綱での反復測定を年2〜3回の頻度で行ない,実際の地殻変動を明らかにできるものと思われる。1回目の観測の解析から,短期間の(2週間程度)再現性は2×10^<-7>程度が得られており,この地域の期待される年変動率と同じであり,今後の測定結果に十分に期待できることは確かめられた。
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