研究概要 |
千島弧と東北日本弧接合部の地殻変動を,GPS観測により直接明かにするために、北海道側に,札幌、えりも,帯広,上ノ国観測点を,東北日本に弘前,階上観測点を設置して観測を継続してきた。その結果、札幌を基準として各点の変位を求めた結果は、帯広は8mm/yで北西進していることがはっきりした。上ノ国では、1993年北海道南西沖地震に伴う変動が観測された.西に20cm,北に10cmの地震に伴い変位していた。これは、約200km離れている地点の地震時の変動がGPSによれば、直ちに決定できることを示した。地震以外の定常的な変位としては、上の国は南進する傾向が見られた。これは、弘前では顕著で札幌に対して、東北日本は南に離れる傾向が見られた。えりもは、僅かに西に変位している。長期のデータから単純にリニアーに変形が進行しているとは、仮定し難い結果が得られ、精密暦による再計算を実行中である。また、えりも、階上間の異機種間の計算の精度の向上を検討中である。北海道南西沖地震後に,奥尻島と渡島大島に観測点を増設し、連日観測を行い,上ノ国に対してそれぞれの位置の変動を追跡した.その結果,奥尻島は余効的な変動を2週間続け、その後単調な変化になっていることを明かにした。これらのことから,精密暦利用による測定精度が、10^<-7>以下を達成できる現在では、島弧接合部の観測を連続観測に置き換え、その複雑な変動を准リアルタイムで観測することが可能となったといえる。
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