最初に本年度は異常隆起域における水準測量デ-タを解析するとともに、1989年7月の伊東沖海底噴火前後の変動に注目して調べた。得られた主な結果は以下の様である。 1.異常隆起の時間的・空間的変動および隆起域の範囲などが明らかになった。 2.積算された隆起のピ-クは解析期間の10年間で24cmに達した。 3.隆起のピ-クの位置は解析期間の始めには内陸にあったが、その後、東側の海岸の富戸付近に移動して固定し、1989年7月の海底噴火後は富戸より10km北の伊東付近に位置した。 4.東海岸の隆起域の時間変化は一様ではなく時間的に変動しているが、1987年から全点で加速し、海底噴火直前には噴火地点に近いところのみ更に加速した。 5.1年間の上下変動の時間変化を見ると噴火地点に近いところでは1987年頃から加速し、その後停滞し、噴火直前に加速して噴火に至るという典型的なパタ-ンを示した。 6.1986年1月から1987年6月まで沈降域が伊流半島全域に広がり、その後東海岸の富戸付近に大きなピ-クをもつ隆起域が広がった後、海底噴火に至った。 7.1978年から伊豆半島東方沖に発生した群発地震は20回であるが、解析した期間の範囲では隆起のピ-クが東側の海岸の富戸付近にあるときに発生している。 以上隆起に関して基本的なことが明らかになってきた。本年度はこの他に以下のことを実施した。 1.内浦観測点に新しく開発した3成分歪計を設置しデ-タの収集を開始した。 2.網代と内浦の水管傾斜計により観測されたデ-タの解析を進めた。 3.油壺に新しく開発したボアホ-ル歪み計を設置しデ-タを蓄積している。
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