伊豆半島の北東部は1967年以来、隆起を続けており、最近までの隆起量は30cm以上にも達している。伊豆半島には最近でも被害地震が発生しており(1974年伊豆半島沖地震、M6.9、1978年の伊豆大島近海地震、M7.0、1980年伊豆半島東方沖地震、M6.7)、群発地震も隆起域の東側で頻繁に発生している。また伊豆半島は相模トラフと駿河トラフにはさまれておりフィリピン海プレート、太平洋プレートと大陸プレートが衝突している場所に位置しており地殻活動の活発なところである。1980年から1990年の間で隆起量は24cmになっており、1989年には伊東沖海底噴火が発生しているが、この異常隆起のメカニズムはいまだ解明されていない。この隆起のメカニズムを解明し群発地震や被害地震の発生との関連及び火山あるいは応力集中との関連を調べることは南関東の地震予知研究にとって最も重要なことである。この研究により得られた主な結果は以下のようである。 1。異常隆起のピークの位置と群発地震の発生には関連があり、ピークが東海岸の富戸付近にあるときに発生する。 2。1989年の海底噴火に至る典型的な上下変動のパターンおよび上下変動の時間・空間変動が明らかになった。 3。隆起域の上下変動の時間変化は一様でなく時間的に変動している。特に1987年から全点で加速し、噴火直前には噴火地点に近いところのみさらに加速した。 4。1993年1月の川奈沖の群発地震において震央距離で約12km離れている網代観測点の水管傾斜科に異常変化は観測されなかった。またその後の光波測量においても異常な距離変化は測定されなかった。 5。震研92型小型ボアホール多成分歪計、震研93型平行二枚バネ式可搬型傾斜計を開発し、網代、内浦、河津、長坂、油壷などにセットした。今後データの蓄積とともに興味ある結果が期待される。
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