研究概要 |
一昨年(1991年)及び1988年に行った地表面における全磁力測定の結果を参考して,また現地には電柱・塔などの障害物がないことを確かめて,我々は鳥取市吉岡温泉の南,吉岡断層をバルーン磁力計による測定対象として選んだ。そして農学部農場を利用してバルーンの飛揚テストを重ねた後,1992年12月19日に,現地における測定を実施した。当日は幸い晴天かつ殆んど無風という好条件に恵まれて予定した測線上に設けた9点において最高100mまで磁気センサーと吊下げたバルーンを飛揚させて各高度毎の全磁力値を測定することができた。測定結果の概要は次の通りである。 1.地表において正(負)の磁気異常が存在する地店では,全磁力値は高度と共い減少(増大)してほぼ一定の値に落着く。 2.センサー高度およそ30m40mで一定値に落着く地点と,センサー高度が100m程度になって落着く場合がある。吉岡断層上の二次元的磁気異常の上では後者の変化パターンが見られる。 3.地表及び上空での全磁力値分布に基きこれらの磁気異常を作る源を計算してみると,吉岡断層直下の位置に断層の走行方向にほぼ直交して厚さ68.4m,帯磁率2.9×10^<-3>o.m.uの岩脈が地表下11.9mの波さに北下り11.6の傾斜で存在しているとして説明できる。 4.この岩脈状磁性体の底面の深さは200m以深である。
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