研究課題/領域番号 |
03452061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅井 冨雄 東京大学, 海洋研究所, 教授 (80025288)
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研究分担者 |
坪木 和久 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90222140)
中村 晃三 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20143547)
木村 竜治 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20013576)
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キーワード | 寒帯気団 / 異常気象 / 豪雨 / 不規則変動 / 数値モデル / レインバンド / リトリーバル法 / 梅雨前線 |
研究概要 |
本研究課題の研究は、寒帯気団の活動の不規則性に関する研究と、寒帯気団の活動に伴って発生する豪雨の研究の2つに大きく分けて行なわれた。寒帯気団の活動に関する研究においては、主にNMCのデータの解析と室内流体実験を行なった。NMCグリッドデータの解析は主に統計的手法を用いて行なった。500hPaの高度場のパターンについて、一点相関の重ね合わせ図を作り、北半球と南半球のそれぞれの夏と冬の地点間の相関を調べた。その結果、北半球では冬季に、南半球では夏季に高い相関が見られた。また同じデータから高度場の変動の大きさを調べ、北半球では緯度について変動の大きさが特に冬季に大きく変化するが、南半球では比較的一様な分布をしていることがわかった。この北半球の非一様性は寒帯気団の大陸東岸における活動に関係している。室内実験では、寒帯気団が流出する際の挙動と、それに伴う力学的不安定について調べた。この実験では軸対称な条件でも非軸対称な擾乱が発生した。その振舞いは寒帯気団の流出によく似たものであった。温度場の計測から擾乱の構造と不安定のパラメーターが明らかになった。 豪雨の研究に関しては、九州特別観測のときに得られた梅雨前線に伴う豪雨のドップラーレーダーのデータ解析を行なった。豪雨をもたらす擾乱の熱力学的構造を調べるためにリトリーバル法を開発し、観測されたレインバンドに適用した。その結果、レインバンドの熱力学的構造と流れの場のレインバンドの形成・維持における役割が明らかになった。さらに雨滴の蒸発などの雲物理学的過程が重要であることが示された。この豪雨について日本域スペクトルモデルによる数値実験を行ない、現実の豪雨をよく予報する結果が得られた。またこれにより豪雨をもたらす環境の形成過程が明らかになった。このモデルを改良し豪雨のより微細な構造を表現できるようにした。これにより特別観測のとき観測されたレインバンドが再現され、その構造が明らかになった。さらにレインバンドの形成に重要な下降流の強化には雨滴の蒸発が重要であることが数値実験から明らかになった。
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