研究概要 |
本年度の研究は,先白亜紀の火成岩類・変成岩類の産状や岩石学的特徴を明らかにするための調査と試料採集,および瀬戸内から山陰にかけて分布する第三〓以降の火山岩類に含まれる捕獲岩類の採集とそれに対する岩石学的,岩石化学的研究に主体をおいた。また西南日本内帯に産する酸性火成岩類ーこれらの多くは下部地殻の部分溶融により形成されたと考えられるーについてのSr・Nd同位体を広域的に測定し,下部地殻の化学的性質について一定の制約を得ることができた。この研究により、西南日本の下部地殻は,化学的性質の異なる2つの部分から構成され,その境界は広島ー岡山県北部にあり、その付近では両者が混在していることが予想される。このような違いはマントルにもあると考えられ,西南日本の下部地殻・マントルは白亜紀以前に大きな構造運動を受けたー例えば陸塊の衝突などーことが予想される。この研究成果はContribution to Mineralogy and Petrology誌に投稿し,一部の訂正の後に掲載される見込みである。 一方捕獲岩類のサンプルの採集も予定どおり進んでおり、現在岩石化学的研究を進めている。ただし岩石化学的研究に充分な大きさのサンプルがなかなか得られず,今後に課題を残している。 鳥取県西部の大山西方で発見された片麻岩類やミロナイトについての地質調査や岩石記載についてはほど終了し,予想されたとおり,これらの岩石は飛騨変成帯のものであることが判明した。現在RbーSr法による全岩アイソクロン年代を求める作業を急いでいる。
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