酸化物電子系の多体効果と金属-絶縁体転移に関する研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03452076
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 内野倉 國光 東京大学, 工学部, 教授 (20015564)
• 研究分担者: 寺崎 一郎 東京大学, 工学部, 助手 (30227508) ; 前田 京剛 東京大学, 教養学部, 助教授 (70183605)
• キーワード: 酸化物 / 金属絶縁体転移 / 多体効果 / 電子相関

研究概要

酸化物電子系の多体効果と金属絶縁体転移を研究するため以下の実験を行った。
1.スピネル系酸化物Li_1+xTi_2-xO_4,Li_1-xMgxV_2O_4の物性 これについては,既に前年度に報告したので,詳しく述べないが,Hall係数の測定に成功し,その電子状態を明らかにした。
2.酸化物超伝導体のマイクロ波による表面インピーダンスの研究 高温超伝導体における,超伝導状態での多体効果を明らかにすべく,マイクロ波表面インピーダンス測定装置を完成させた。超伝導空洞共振器を用い,試料のみの温度を変化させる方法に成功した。この装置を使用して,YBa_2Cu_3O_7及びBi_2Sr_2CaCu_2Oyにおける超伝導状態での準粒子散乱時間の変化やLa_2-xSrxCuO_4における異方的侵入長の測定に成功し、高温超伝導体における多体効果に関して新しい知見を得た。
3.高温超伝導体周辺物質の物性 周辺物質であるBi_2M_3Co_2O_<9+8>(M=Ca,Sr,Ba)の光学的性質を広いエネルギー範囲で測定し,超伝導を示す物質と示さない物質の電子状態の違いに関し新しい知見を得た。
4.銅酸化物の磁性 銅酸化の物性を銅の持つスピン間の多体問題という観点から研究した。La_2CuO_4のCuをZnで置換した系に関し,単結晶で帯磁率を精密に測定して,解析することにより,その磁性の置換による変化を詳しく解明することに成功した。

研究成果

• [文献書誌] 長谷 正司: "A new method of determining Tc(H) of single-crystal La_2-xSrxCuO_4f rom field-dependent susceptibility above Tc" Advances in Superconductivity IV. 159-162 (1992)
• [文献書誌] 寺崎 一郎: "Doping effects on the anisotropic magnetic susceptibility in single-crystal La_2-xSrxCuO_4" Physica C. 193. 365-370 (1992)
• [文献書誌] 前田 京剛: "Magnetic-field-penetration depth and the lower critical field of the guasi-two dimewsional superconductor Bi_2Sr_2CaCu_2Oy" Phys.Rev.B. 46. 14234-14237 (1992)
• [文献書誌] 芝内 孝禎: "Microwave complex conductivity in single crystals of YBa_2Cu_3O_7 and Ba_2Sr_2CaCu_2Oy" Physica C. 203. 315-319 (1992)
• [文献書誌] 芝内 孝禎: "Microwave conductivity of superconducting high Tc cuprates" Proceedings of the Fifth international Symposium on Superconductivity(1992Kobe).
• [文献書誌] 寺崎 一郎: "Optical reflectivity of single-crystal Bi_2M_3CO_2O_<9+8>(M=Ca,Sr and Ba) from infrared to vacuum-wltraviolet region"
• [文献書誌] 寺崎 一郎: "Ba-and Pb/Bi-site substitution in BaPb_<0.8>Bi_<0.2>O_3" 東京大学総合試験所年報. 50. 117-123 (1992)
• [文献書誌] 前田 京剛: "酸化物超伝導体Li_<1+x>Ti_<2-x>O_4の金属絶縁体転移の機構" 東京大学総合試験所年報. 50. 111-116 (1992)