電子スピン共鳴(ESR)画像計測(イメージング)を高分機能で行う「ESR顕微鏡」を用いて、ダイヤモンド結晶と薄膜内に常磁性中心の濃度分布を明らかにした。特に、このための「ESR顕微鏡用キャビテイ」を開発し、新方式のESR顕微鏡とその応用例について、著書(共著)にまとめ、シュプリンガー東京から出版した。また、これまでのESR応用を一冊の英文著書にまとめ、ワールドサイエンテイフィック社から近く出版予定である。 ダイヤモンド及びSi基板上の薄膜に関連したESR顕微鏡の成果は下記の通りである。 (1)高圧合成ダイヤモンド単結晶(住友電工)内の常磁性不純物である窒素(N)中心とNi中心の濃度分布を画像化して、結晶成長のセクター依存生を明らかにした。特にNi中心については、77Kで測定できるように工夫した。 (2)ダイヤモンド薄膜の常磁性中心分布測定では、顕著な分布画像を得ることができなかったが、各種不純物をドープした薄膜では、分布画像を得ることができる。 (3)半導体基盤上の常磁性分布を測ることができ、工学上役立つことが明らかになった。特に、「マイクロ波走査型ESR顕微鏡」は、工学的応用が盛んになると考えられる。 本研究に問題点として、ESR基是の小型化と感度向上について検討した。
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