研究課題/領域番号 |
03452083
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
浅野 種正 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 助教授 (50126306)
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研究分担者 |
青木 誠志 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 助手 (40231758)
比嘉 勝也 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 助手 (40238259)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | トンネル効果 / 電界放射 / イオンミリング / 異方性エッチング / スパッタリング / 真空マイクロ素子 |
研究概要 |
本研究は、原子サイズの空間での電子のトンネル効果を制御して、原子1個を1単位とする情報記録方式の開発を目的とした基礎研究である。本年度は、トンネル効果で電子放射を誘起するための探針加工法と電界放射特性の関係を明らかにするとともに、それに基づく微小電界放射電子源の開発を行った。種々の熱処理や雰囲気の違いによる電界放射特性の変化を“その場"測定できる独特の測定系を開発した。 (1)水酸化カリウム水溶液を用いたシリコン(Si)の異方性エッチングとArイオン照射によるスパッタリングを組み合わせることで、先端の曲率半径が約10nmの探針を加工できる。 (2)スパッタエッチングしたSi探針は、表面が非晶質化するが、600℃以上の熱処理により結晶性は回復し、他の加工法に比べて優れた電界放射特性を示す。また、熱処理温度を800℃まで上昇すると、探針表面の清浄化により、電界放射特性は改善される。しかし、900℃以上の熱処理を施すと逆に放射特性は劣化する。これは、熱処理中の原子移動で探針先端が鈍くなるためと考えられる。 (3)水素雰囲気中ではSi探針の電界放射電流を大きく増加させることができる。MIS型構造の容量一電圧特性を評価した結果、Si表面への水素吸着により、表面準位密度が変化したためであることが示唆された。 (4)真空中では、トンネル電流の雑音は1/f(周波数)特性を示すのに対し、水素雰囲気中では1/f^n(n>1)となり、またショット雑音も増加する。これは雑音が表面での原子の移動および吸着脱離が組み合わさって生じているためと考えられる。 (5)スパッタ蒸着の周り込みを制御して、自己整合で作製できる微小電界放射電子源の作製法を開発した。
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