本研究では、レーザ光を照射することでステージ基体表面に格子振動を励起し弾性表面波を発生させステージ上の物体を非接触・無軌道で移動する光誘導アクチュエータを実現するために、次のような基礎研究を行った。 1.光熱変位特性測定 Nd^<3+>:YAG-SHGのレーザ光を固体表面に照射することにより、数種の金属材料を試料として、発生する光熱変位のパワー依存性・励起方法による差異等を測定した。変位測定のためにはマイケルソン光干渉計を導入した。また生じる光熱変位のメカニズムの解明のために、数種のモデルについて理論計算を行った。 2.光損傷閾値測定 上記の試料を用い、表面に損傷を生じる光パワー密度の測定を行った。各試料の物性値(融点、比熱、膨張率、熱伝導率など)を考慮し、損傷閾値の数値計算を行い、実測値と比較した。 3.光誘起による物体移動 水平に保持したアルミ箔を基体ステージとし、カバーガラス、プラスチック微小球をのせ光誘起変位により物体の移動を試行したが、移動の確認には至らなかった。 4.光走査による光熱変位励起 Ar^+レーザを用い励起光ON/OFFにより光熱変位を観測した。次いでポリゴンミラーを用いて励起光を走査し、これに同期した光熱変位波形を確認し、その走査周波数・励起波長依存性等を測定した。
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