研究概要 |
透過型電子顕微鏡に固有の球面収差を補正する方法としてデフオ-カス変調方式の能動型画像処理法を開発して来た。 本年度はこの方式の有用性を実証するために,最新の電子顕微鏡であるHitachiー2000FEGに,本方式を応用して一連の共同研究を行った。得られた成果は次の通りである。 (1)Hー2000FEGの電量放射型電子鏡の優れた特性を威力あるものと実証するに十分な分解能向上を確認した。すなわち、通常の電子顕微鏡観察において得られる分解能を1.6倍も上まわる高分解能が得られることを実証した。この結果は第12回国際電子顕微鏡学会で発表し,この分野の権威であるFrank教授(アメリカ)より激賞の手紙をもらったことも,本成果を裏付けるものといえよう. (2) 能動型画像処理により,電顕試料の振中コントラストと位相コントラストをそれぞれ分離して,像再生をすることが出来ることに注目し、従来試料が厚いため振中コントラストがかぶってくることで分離能が劣化するという欠点を原理的に除去出来ることを実験により確認した。この方法は生物試料などにきわめて有用な手法によるものとして,現在生物・医学関係者とHー2000 FEGを用いて実験を計画中である。 (3)研究室で振動中のJEM4000cx原子主視電子顕微鏡への応用をはかるため,高圧タンク(400KV)の電圧モニタ-部から高周波変調電圧〜100v 1KHz以上を送り込み,高圧に能動型画像処理用変調電圧をかけることに成功した、この成果は本研究の主目的である超解像度電子顕微鏡を実現する上で、画像期的な第一歩となるものである。 以上のように本研究は,きわめて順調に進展しており,又成果も第1段目から出ている。
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