研究概要 |
本研究は,プラズマプロセス装置内の微粒子の生成,消滅機構,及び放電空間での微粒子の挙動を解明する手法の確立を目的としている.特に,太陽電池や薄膜トランジスタに用いられるa‐Si:Hの成膜に使用されるシランプラズマを取り上げて,膜質の劣化と歩留りの低下をもたらすプラズマ中微粒子について調べた. まず光散乱法を用いた微粒子の粒径・密度の測定手法を確立し,放電空間の微粒子の粒径・密度の2次元分布の時間推移を測定した.次に,微粒子の発生に寄与すると考えられている負イオン密度を推定するために,電子密度をマイクロ波干渉法により,正イオン密度を静電プロ-ブ法により測定した.以上の測定から,これまでに次の様な新しい知見を得た. 1.微粒子の成長には秒オ-ダ以上の極めて長い時間を要する. 2.微粒子は球形をしており,直径200nmの微粒子は10^7cm^<ー3>程度存在する. 3.微粒子は放電off直後,rf電極シ-ス近傍から電極間中央に極めて速い速度で広がる.その後,ゆるやかに流れによって排気側へと移動する. 4.微粒子は負に帯電しており,力のバランスでシ-ス付近に集中する. 5.微粒子によるミ-散乱光強度が最大となる位置は,微粒子の成長と共に電極方向に近づいていく. 6.粒径の大きな微粒子ほどRF電極近くに存在する. 7.rf放電シランプラズマ中には負イオンが存在し,その密度は放電開始後10ms程度の時定数で10^9cm^<ー3>程度の定常値まで増加する.
|