研究概要 |
本研究の最終年度として次の研究を行った. 1.円柱凝縮相から真空中への定常蒸発流の解析 本問題は,昨年度完成した球状凝縮からの真空中への定常蒸発流と共に古くから関心を持たれていたが,その難さから満足な研究は行われていなかった.本研究は昨年度の研究成果にさらに本問題特有の困難さを克服するための工夫をとり入れて解析を行い,上記流れの全容を明らかにした.本問題は球の問題と一見類似しているようであるが,流れの遠方場において、本質的なちがいがあり,その様子およびその原因を明解に示した. 2.揮発性粒子がその蒸気の中を運動する場合の流れの解析 エアロゾル科学において重要な上記流れおよび粒子に働く力を,剛体球Boltzmann方程式を用いて精密に数値解析し,その全容を明らかにした. 3.熱ほふく流に関する実験 熱ほふく流は低圧気体における特有の現象として古くから知られ,理論的には厳密な解析も行われている.本研究はその定量的性質を簡単な実験によって確めたものである. 4.任意熱伝導度を持つ球状粒子の熱泳動の解析 昨年度に完成した一様な温度の球に関する熱泳動の研究を発展させて任意の熱伝導度を持つ球状粒子の熱泳動を解折し,粒子のまわりに誘起される流れおよび粒子に働く熱流力を明らかにした. 5.線形Boltzmann方程式の適用限界の数値解析的検討 低圧気流の非線形効果に関するまとめとして上記研究を行った.すなわち一様な系からごくわずかずれた系を取り上げ,一見非線形効果は無視できると考えられるこの系の振舞を非線形および線形両Boltzmann方程式を用いて系統的に調べ,非一様以外の線形方程式の適用限界を明らかにした.
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