研究概要 |
1.X線によるセラミックコ-ティングの膜の集合組織測定のため,ポ-ルフィギュア試料台および試料台コントロ-ラ,CPU接続インタフェ-スを購入した,ソフトウェアを開発し被覆膜の極点図の自動測定を可能にした。 2.超硬合金(WCーCo)のWC相およびCo相の残留応力を分離して測定するX線応力測定方法を確立し,基材の特性を明らかにした。 3.化学的蒸着法(CVD法)により炭化チタン(TiC)をステンレス鋼,軟鋼,低合金鋼,WCーCoに被覆し,被覆膜の集合組織を測定することともにX線残留応力測定を行った。CVD法によるTiC被覆では配向性の発達は少なく,通常のsin^2φ法の適用が可能であった。 4.TiC膜の残留応力の基材の熱膨張系数によって異なり,ステンレス鋼,軟鋼,低合金鋼では圧縮,WCーCoでは引張りであった。この残留応力に依存してビッカ-ス押込み硬さおよび裂の形成は異なり,残留応力が大きな影響を与えていることが明らかとなった。 5.CVD法によりグラファイト基材上にTiCとSiCを複合コ-ティングした場合について,波形分離法を使用し各層の応力の測定を可能にした。この場合,配向性の発達も単体コ-ティングの場合とは異なっているとともに,複合コ-ティング膜では3軸応力解析が必要であった。 6.PVD法によりTiCをWCーCo基材上に被覆した場合においては,膜面に垂直に(220)面集合組織の発達が著しく,通常の方法でのX線応力測定は因難であることが判明し,まず集合組織の精密な測定を行うとともに新しい集合組織を考慮したX線応力測定法について検討した。
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