平成4年度では、平成3年度に作成した折畳み解析のコードに加えて、展開の動解析プログラムを作成した。運動方程式の時間積分法には陽的解析と院的解析法の両者を用いている。座屈時の特異性を取り扱わねばならない折畳みの静解析と比較して、展開の動解析は有効剛性マトリックスが特異にならないため、問題が生じることなく安定した解を得ることができる。また、実設計へ適用しやすいように、入出力に関するプリポストプロセッサーを作成し、解析プログラムとのインターフエイスを整備した。 次に、以上に完成したコードを用いて、実用規模の例題としてヘリカルスプリング、EXOS-Dなどこれまで実機で使用されてきた伸展マストののシミュレーション解析を行い、実験解析の存在するものについて比較検討を行なった。その結果本コードによる伸展解析結果は、実験値と良好に一致した。これにより、今後は数値シミュレーションにより効率的に伸展マストの設計が実施できることが期待される。 最後に種々のケーススタディを行って、折畳み展開構造の形態について論じた。特に初期不整による分岐制御の可能性について検討した。検討にあたっては、まず有限要素法による分岐解析手法について調査し、ScaledCorrectorを用いた新しい分岐解析手法を開発した。そして、有限要素分岐解析結果により、最小ひずみエネルギーの観点から、伸展マストの折り畳み制御について考察を加えた。
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