研究概要 |
本研究の初年度である平成3年度では,工作機械の構造設計分野において特に立後れていることが指摘されているテ-ブル案内と送り駆動機構の高度化設計方法の確立を目的として,以下のような手順により研究を実施した. (1)特に重要であると考えられる精密送りテ-ブルシステムの構造に関する詳細な調査及びその分析を行なった結果,テ-ブル案内・送り駆動系の構成要素の中でも特にテ-ブルと駆動系の連結部の高機能化が必要不可欠であることを明らかにした. (2)テ-ブルの機能分析の結果に基づき,新たな概念に基づく連結機構を開発しさらに,それを組込んだ空気静圧案内テ-ブルシステムの全体性能の評価試験を行なった.その結果,従来から感覚的に指摘されるに過ぎなかった,テ-ブルとその駆動系の連結機構の構造及び特性が,テ-ブルの運動性能及び振動特性に大きな影響を与えること,を明らかにした. (3)超精密加工を対象とする超精密・高剛性送り駆動系を実現するためには,駆動系からの外乱を低減すると共に,高い送り方向剛性を確保することのできる連結機構が必要不可欠であることから,新たな設計概念に基づく連結機構を開発した.更に,それを実際に超精密加工機のテ-ブルシステムに組込むことにより,その特性と加工精度との関連を明らかにした. (4)テ-ブルの位置決め時における駆動系とテ-ブルの運動挙動に関する詳細な数学モデルを構築し,それを用いた数値シミュレ-ションを種々の条件下において行ない,テ-ブルと駆動系の連結機構の特性がテ-ブルそのものの運動挙動にどの程度の影響を与えるかについて定性的,定量的な評価を行なった.
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