研究概要 |
1.エポキシ系樹脂の凝固状態を超音波で計測するためのモデル実験をおこなった.樹脂をモデル実験用金型内で凝固させ,超音波の樹脂内伝ぱ速度の変化を反射波の到達時間によって計測した.凝固の進行とともに反射波の到達時間は早くなっており,音速が増加していることがわかった.超音波の伝播速度によって,凝固進展状態を計測することができた. 2.平成3年度に製作した樹脂成形金型では,型内樹脂の観察には問題がないが、超音波計測の精度に欠点があることが判明した.そこで,凝固収縮に伴う接触条件および離型状態の変化を超音波反射試験で精度よく計測できるように,可視化圧縮成形用金型を新たに設計した. 3.樹脂と金型との熱的接触条件を評価するための予備実験として,人工的な表面突起を加工し,試験片と金型との接触状態を容易に変更できるアルミニウム円柱試験片を用いて,超音波の相対反射強度I/I_0を評価した.非定常の接触熱伝導問題を解析して接触熱抵抗とI/I_0との関係を調べた.その結果,両者の間には比較的良い対応が認められた.超音波の相対反射強度I/I_0を加工中に評価することによって,凝固収縮によって発生する型と樹脂材料の離型状態を調べることができそうである. 4.型内における凝固反応速度を簡単で,しかも物理的に理解しやすい形に改め,凝固フロントのシミュレーションを行なった. 5.樹脂の成形条件(金型温度,成形圧力,成形時間)が成形品の形状不良に及ぼす影響を詳細に調べた.離型条件と形状精度の関係を知るのに都合のよい基礎的成形データを蓄積した. 6.超音波の周波数特性が接触界面での超音波反射に及ぼす影響を検討し,接触形態,周波数および反射特性の関係を数値シミュレーションと実験を通して明らかにした.
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