研究概要 |
ねじ締結体の強度設計には,ボルトの疲労強度に関するデ-タの蓄積が必要である。そのために,ISOボルトの疲労試験方法の標準化が計画され,1977年にISO 3800(ねじ部品の疲労試験方法)が制定された。これには統計的疲労試験方法が推奨されているにも拘らず,その規定は将来の問題として残されていたが,最近ドイツおよび日本の研究成果を取り入れてISO規格の改正が進行中である。 しかし,改正予定のISO規格でも,品質保証を目的とした試験方法については不十分である。われわれのグル-プによる統計的疲労試験方法をさらに発展させてボルトの品質保証にも適するようにし,上述の規定の完成に寄与することが本研究の目的である。 平成3年度には,上述のISO規格改正案および宇宙航空用ボルトの試験方法に関するISO規格案(DIS 7961)の中の疲労試験に関する部分を検討し,その問題点を明かにし,これをふまえて平成4年度における実験計画を立てた。この検討を行うために,研究代表者,研究分担者(2名)のほかに,日本ねじ研究協会常務理事,同協会会員のねじメ-カ技術者(2名)からなる委員会を組織し,3回の会合を開催した。 また,研究分担者の所属する大学(2箇所)および上述の委員会メンバの所属するねじメ-カ(2箇所)に設置された疲労試験機を利用して,上述の計画による疲労試験を平成4年度に実施する予定である。そのために必要な疲労試験片および試験片取付治具の一部を平成3年度に準備した。また,本年度購入したAE計測装置に関しては,現在,性能試験を行うと同時に操作手順のマニュアルを作成している。
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