研究概要 |
1.2次元鈍頭厚板の前縁はく離泡の正弦波状に変動する主流に対する応答を,離散渦法によって数値的に解析した.この結果,剥離泡の長さ(再付着長さ)が極小値をとる攪乱周波数が存在すること,この周波数を主流の平均速度と板の厚さによって無次元化した値は,攪乱の強さにほとんど依存しないこと,これらの計算結果は実験結果とよく一致することが明らかになった.実験は数頃に述べるように振動フラップによる循環変化の形で与えられた攪乱を用いているが,この結果が主流を変動させたときの計算結果と近似的に一致することは,能動制御における攪乱周波数が最も重要な支配パラメ-タであることを示している. 2.2次元鈍頭厚板の後縁に振動するフラップを取り付け,これを規定された振動数および振幅で振動させることにより,前縁はく離泡内に周期的攪乱を導入し,はく離泡内の速度分布,乱れ分布,逆流率分布の測定を行った.この結果,再付着長さは攪乱レベルの増加とともに減少すること,レイノルズ数の効果は大きくないこと,攪乱振動数が適当な値のときに再付着長さが極小となること,乱れの強さは攪乱のあるとき主流速度の50%に達する可能性のあること,などを明らかにした.強い攪乱が与えらたとき,前縁の近くに強い渦が形成され,これによる連行流量の増加によって,再付着長さの著るしい減少がもたらされる. 3.前頃の実験では攪乱周波数の効果を広い周波数範囲について明らかにすることが因難であった.そのため鈍頭円柱の内部にスピ-カ-を組みこみ,その前縁のすぐ下流にスリットを設け,ここから周期的攪乱を導入して,前縁はく離泡の能動制御を行った.この結果,再付着長さは円柱直径と主流速度を用いて無次元化した攪乱周波数がほぼ1.6のとき明確な極小値をとることがわかった.この攪乱周波数の値は再付着領域から大規模な渦が放出される平均周波数の約4倍である.
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