研究概要 |
本年度の当初の計画においては,まず、著者らが既に開発している,気液界面での蒸発・凝縮を含む熱伝達,液滴の生成・消滅,蒸気と不凝縮ガスの相互拡散の影響などを考慮にいれた気泡運動の数値解析コ-ドに、気体の解離・結合反応及び化学反応を加え、内部で起きているより詳しい現象を明らかにするためのコ-ドを開発することであったが、そのコ-ドに関しては,従来難しいとされてきた化学反応に関する計算方法も精度の良い方法が他の研究により確立されつつあり、その方法を用いることによりほぼ完成に近い状態まできている。一方、研究のもう一本の大きな柱である気泡崩壊時に放射される光の分光を行い、気泡内での反応、温度などを実験的に明らかにすることに関しては、まず、分光器の購入を行い、分光器を設置するための現有の実験装置に改良を加えた。また、本研究における大きな課題とされている任意ガスを含む微小気泡の発生については、その装置を開発し、ほぼ希望に近い大きさの気泡を発生させることができることがわかった。本年度は、まず第一段階として、気泡内から放射される光の強度を測定するために光電子増倍管を用いて光を捕らえる実験を行い、その結果をもとに、光を捕獲するイメ-ジコンバ-タカメラの感度についての検討を行った。この実験において、気泡内のガスは空気とアセチレンガスを用いたが、気泡崩壊時に燃焼反応により放射されたと思われる光を光電子増倍管が検出し、光が放射されたことが確認され、イメ-ジコンバ-タカメラにより捕獲できることが明らかになった。本年度は残念ながら光を分光するまでには至らなかったが、来年度には分光を行い内部の現象を明らかにする予定である。
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