一様流中に二本の円柱を有する場での実験を行った。単相時、可視化によって流動場に大規模な渦塊が存在することを確認した。また熱線流速計により得られた信号を周波数解析することにより、円柱間隔によってストロハル数が変化することが示された。円柱間隔が狭い場合、双方の円柱によって形成される渦塊が相互に干渉するためにストロハル数が小さくなる。すなわち、間隔が狭い場合の二本の円柱の後方では、渦塊が干渉することでひとつの大きな渦塊を形成しているのと類以した傾向を示す。円柱間隔が広い場合、渦塊は干渉せずストロハル数は一様流中に単円柱がおかれた場合の値と一致し、個々の円柱により形成される後流は干渉していない。この様な流動場に粒子を添加し、申請者らが開発したLDVを用いて、粒子の挙動を調べることで以下の知見を得た。円柱間隔が狭い場合、粒子は渦塊が干渉する場に添加されるために円柱直後から大きく拡散する。二つの渦塊が干渉し、ひとつの渦塊が形成されるときに粒子を巻き込む力が大きく働き、粒子は大きく拡散する。それに対し、円柱の間隔が広い場合、円柱間には後流の影響を受けない領域が存在する。粒子ははじめこの領域に添加されるため、上流ではあまり拡散しない。二本の円柱によって形成される後流域が下流に行くにしたがい広がり、粒子が後流域に存在する渦塊と干渉する事で拡散する。これらの結果は、二次元剪断層での粒子拡散現象を取り扱う際に有用であったストークス数によってよく関係づけられ、粒子拡散現象に関してより普遍的な関連が明らかになった。
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