研究概要 |
気体と液体が層をなして並行して流れる実験系において,気相及び液相の乱流特性を熱線流速計と熱膜流速計を用いて計測するとともに,気液界面近傍の乱流を再現することを目的としたk-ε乱流モデルを開発した,次に,水蒸気がサブクールに界面で凝縮する系の凝縮熱伝達への適用を試みた. (1)I型プローブを用いた乱流諸量の計測によると,液相レイノルズ数が1200の時,レイノルズ数の十分高い気相の剪断力により液相に乱流が励起される.その時の気液界面近傍の乱流特性は,壁面近傍のものに極めて近く,自由界面特有の現象は現われない.液相レイノルズ数が10000を超え,それ自体で乱流の時,気液界面近傍の乱流は壁面乱流とは大きく異なる. (2)乱流諸量の界面への漸近挙動を適切に表現した改良k-εモデルを開発した.それによると,界面波が発生していない条件では,極めて良好に予測することが分かった.しかし,界面波があるときには,界面波に伴う非線形的な渦運動を再現することができず,予測精度も悪いことが分かった. (3)自由界面を有する系へ拡張を行った修正k-εモデルを凝縮熱伝達予測に用いると,平滑界面の場合にはかなり高い精度で予測することができた. (4)界面波を有する場合の凝縮熱伝達を予測するために,界面から発生するバースティング,壁面から発生するバースティング,界面波に伴う二次的渦運動を考慮した界面更新モデルを提案した.実験値との比較では,モデルが簡易にもかかわらず,かなり高い精度で熱伝達率を予測し得ることが分かった. (5)界面波にともなう非線形的渦運動の可視化と数値計算による渦運動の再現を試みた.気相速度が大きく,界面波が発生する状況下では,線形的な渦運動のほかに非線形的な流れがレーザーホログラフィにより可視化され,数値計算においても界面剪断力が大きくなるに従って,非線形的な渦運動が発生することが分かった.
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