研究概要 |
回転機械は多くの機械設備において重要な役割を果たしており,その故障は経済的・社会的に大きな影響を与える.このような故障を理論的に予測または,初期段階で発見し,その原因を迅速に診断し事前に適切な対策を行うことが大事故を防止する最も有効な手段である.そこで本研究は次のような目的のために研究を行っている. (1)回転機械の故障モ-ドの機能・構造面からの推定手法の確立(2)回転機械の振動測定位置の違いによる異常振動特性の違いを明確化するため,周波数分析結果よりペイズ理論を用いて診断し,異常振動の原因を従来より正確に評価する手法の確立(3)統括的な診断を行うエキスパ-トシステムおよびニュ-ラルネット手法を用いた自動診断システムのアルゴリズム開発. 本年度はこれらの課題のうち本研究では,設計資料を基にして機能・構造面からニュ-ラルネットの手法を用いて故障モ-ドを推定する手法を確立し,さらに,得られた故障モ-ドに対して故障原因との因果関係を予測する手法を提案した.その結果は,日本機械学会関西支部定時総会で本年3月下旬発表の予定である.また,現在の異常振動診断システムでは,マトリクス得点表を用いて要因分析を行っているが,同一の振動原因でも振動の測定点によって要因分析結果が異なることがある.このような欠点をなくすために周波数分析結果,振幅値の相対的大きさをファジィ理論に基づいた統計的手法を用いて理論的に評価し,要因を正確に見つけるための手法を確立した.本研究成果は,日本機械学会機械力学部門主催のD&D Conferenceにて本年7月に発表する予定である.
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