研究概要 |
故障を理論的に予測または,初期段階で発見し,その原因を迅速に診断し事前に適切な対策を行うことが大事故を防止する最も有効な手段である.そこで本研究は次のような目的のために研究を行った. (1)回転機械の故障モードの機能・構造面からの推定手法の確立 (2)回転機械の振動測定位置の違いによる異常振動特性の違いを明確化するため,周波数分析結果よりベイズ理論を用いて診断し,異常振動の原因を従来より正確に評価する手法の確立 (3)統括的な診断を行うエキスパートシステムおよびニューラルネット手法を用いた自動診断システムのアルゴリズム開発. その結果,故障要因に対するデータベースを作成し,故障診断を行うための基礎データを収集し,統括的な診断のためにニューラルネット手法を用いたエキスパートシステム構築のための研究を行った.すなわち専門家による回転機械の診断過程を分析し,その診断過程をモデル化し,診断過程を効率的に自動化する手法として,ニューラルネットの手法により原因を絞り込み,その中から真の原因を確定するエキスパートシステム構築の手法とそのアルゴリズムの確立を行った. 具体的には,診断システムの大枠である全体の診断の流れを実行する主プログラムを完成させ,その中に診断手法として確立されたプログラムがサブシステム化した形で入るようにし,今後開発された手法が容易に利用できるようにした. 次に診断手法については,故障モードの創成とその振動現象との関係を工学的見地から明らかにすること,またその関係を定量的に表せるベイズ手法による診断の実用化,さらにニューラルネットを用いた診断手法および精密診断手法の開発を行った.
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