当初の研究実施計画にそって研究を進め、ほぼ目的を達成することができた。以下に項目別に具体的な成果をまとめる。 1.試作2号機の製作と基本デ-タの測定 (1)予備実験の段階で、既に試作1号機の固定子巻線の巻数が不足していることが明かとなっていたので、その巻数を増やすと同時に、電動機(4極)巻線と位置制御(2極)巻線の起磁力分布をより正弦波に近付けた2号機を製作し、回転子の変位・巻線電流が、発生するトルク・ラジアル力に及ぼす影響を知るための基礎的デ-タを測定した。そして、これらの試験結果より、モ-タのインダクタンス行列を求めた。 (2)上記の行列からモ-タの発生トルク、ラジアル力の理論式およびモ-タの解析モデルを導出した。 (3)固定子スロットに納める4極巻線と2極巻線の導体比が、トルクやラジアル力に及ぼす影響を明かにした。 2.パワ-MOSFETを用いたPWMアンプの試作 4極・2極巻線の駆動用として、従来のパワ-オペアンプに代わるPWMスイッチングアンプ(キャリア周波数30kHz、出力±50V、±10A)を試作し、入力電流指令に対する線形性、周波数特性などの基礎特性を測定した。 3.高速CPUを用いたディジタル制御系の試作準備 32ビットマイクロプロセッサ68030を中心としたシステム構築の準備として、入出力ボ-ドの製作および試験を行った。 以上の実験では、回転子が一点支持の縦置形で自由度が水平方向のみの系を対象としてきた。現在、回転子を横置形とした試作機を製作中であり、引続いてモ-タのモデル化、制御法の検討を行う予定である。
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