研究概要 |
平成3年度の研究によって得られた新たな知見は以下のようにまとめられる。なお,試料としては,浮遊帯溶融法にて作製したBi_2Sr_2CaCu_2O_yの試料(1〜3mmx 0.5mm×18mm)を用いた。 1.ハロゲン光源からの光を照射することにより,Bi系酸化物超電導体の臨界電流は低下し,発生電圧が増加すること,既ち超電導ー常電導転移が促進されることを解認した。また,この効果は試料の受光面績が大きいほど著しいことが分かった。 2.試料に照射する光のスペクトルを色ガラスフイルタにより変化させて,転移促進効果のスペクトル特性を求めたところ,紫外領域の効果が大きいことが分かった。別に求めた試料自体の光吸収特性は,実験の波長領域でほぼ一定であることから,非熱的な機構の可能性が示唆された。 3.幅1msec以下のパルス光に対しも,臨界電流の低下や発生電圧の増加が認められた。かなり速い応答速度が期待できよう。 4.光照射下の電流ー電圧特性は,光を照射しないときのそりに比して,大きなバラツキ(標準偏差にして約10倍)を持つことが分かった。光照射下で試料の温度上昇が無視できるほど小さいことを考え合わせると,光照射効果の発生機構として,光による超電動電子対の破壊やピンどめ磁束の脱出促進と言った電子的機構が有力と考えられる。
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