研究概要 |
本研究では、フォトルミネセンス(PL)測定による半導体表面準位密度分布の評価法の確立と表面の工学的制御に関して検討を行い、以下に示す成果を得た。 (1)バンド端PL強度の励起光強度依存性の測定と表面・界面準位を介した再結合過程の厳密な計算機シミュレーションの比較から、準位密度分布を非接触・非破壊で定量的に評価することが可能な新しい方法として、フォトルミネセンス表面準位スペクトロスコピー(PLS^3)法を開発した。 (2)新しいPLS^3法を用いて、化学エッチング、化学的表面処理、アニーリングが行われた表面など、従来測定が不可能であった半導体「自由表面」やMBE結晶成長、光CVD絶縁膜堆積など超高真空プロセス中の表面・界面の準位密度分布をはじめて明らかにした。また、これにより、本手法の有用性を実証した。 (3)MBE GaAs再成長界面およびGaAs系ヘテロ界面のPLS^3測定,CVシミュレーションから、これらの界面には、DIGSモデルの特性エネルギーEHOに極小値を持つU字形の連続準位が形成されること、また、この準位が成長中断界面,ヘテロ界面で観測される種々の異常性の原因であることを明らかにした。 (4)GaAs表面に形成したショットキー障壁の構造・組成・結合・電子状態をRHEED,XPS,C-V,I-V法等で評価し、界面層の効果を考慮したショットキー障壁の新しい形成機構を提唱した。また、界面層として、不純物をドープしたSi超薄膜界面制御層(Si ICL)を用いることにより、GaAsショットキー障壁高が広範囲に、しかも、精密に制御できることを示した。さらに、GaAs表面をフッ酸処理した後、低温でPCVD SiO_2膜を堆積すると、アニール時のSiO_2/GaAs界面反応が大幅に抑制されることを明らかにした。
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