研究課題/領域番号 |
03452153
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高橋 隆一 富山大学, 工学部, 助手 (80019223)
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研究分担者 |
平田 豊明 大阪真空機器製作所, 開発本部, 開発課長代理
池田 長康 富山大学, 工学部, 教授 (10222895)
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キーワード | 磁性材料 / 薄膜 / 磁気記録 / 記録媒体 / スパッタ装置 / トロイダルプラズマ / プラズマフリー / 中性粒子 |
研究概要 |
トロイダルプラズマ式(TP)スパッタ法を用いて、NdFeB系化合物薄膜を形成し、その構造・特性とターゲットから放出される高エネルギー中性粒子との関係を明確にすると共に、記録媒体としての特性を評価した。 1.Feプレーナリングターゲット上にNdとBのチップを載せた複合ターゲットを用いてTPスパッタ装置の直流放電とスパッタ特性を測定した。 ・膜厚0.2〜1μmのNdFeB膜を形成し、ターゲットの浸食状況、膜形成速度、基板温度などの変化を調べた。 ・ターゲット面近傍で面に垂直な磁界成分が増加するようにNdFeB磁石を配置すれば、高エネルギーγ電子の封じ込めが強くなり、1mTorr以下の低Arガスまで安定放電が持続し、印加電圧が350Vと低下し、プラズマフリーで膜が形成されることが示された。 ・高密度トロイダルプラズマの形成により、0.19μm/min、60℃の高速・低温スパッタができ、ターゲットの面積利用効率90%まで向上した。 2.NdFeB複合プレーナリングターゲットの表面から放出される高エネルギー中性粒子の同定をアルゴンガス圧、電力を変化させながら測定する。飛行時間測定装置を用いて、ターゲット面から1m離れた基板(コレクター)に入射される中性粒子の飛行時間を測定した。測定スペクトルから、コレクターに入射される粒子はフォトンであり、Ar、Fe、Nd、B、に起因するものは観測されなかった。本装置では中性粒子束の基板衝撃はなく、膜の構造・特性に影響を与えないと推定できる。 3.NdFeB膜の構造は組成によりアモルファスまたは結晶になり、磁化容易軸が膜面に垂直で、飽和磁化:1kemu/cc、保磁力1.5koeであり、垂直磁気記録媒体として有望であることが分かった。今後はハードディスクを試作して垂直磁気記録・再生実験を行う予定にしている。
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