研究課題/領域番号 |
03452157
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
横田 勝弘 関西大学, 工学部, 教授 (50067617)
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研究分担者 |
田村 進 関西大学, 工学部, 専任講師 (10067754)
片山 佐一 関西大学, 工学部, 教授 (90067398)
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キーワード | シリコン / ひ素 / ボロン / イオン注入 / ラザフォ-ド後方散乱 / 二次イオン質量分析 / 注入不純物の電気的活性化制御 / 転位 |
研究概要 |
私達は、すでに、シリコンにひ素とボロンをイオン注入し、熱処理すると、2個のひ素と1個のボロンが結合して、アクセプタ-を作り、ひ素の電気的活性化が抑制され、かつひ素とボロン両方の拡散も抑制されることを報告した。 ここでは、ひ素とボロンの結合の発生の原因について行なった研究の一部を報告する。ボロンイオンの注入量をひ素イオンの注入量の10分の1にして、ボロンイオンの飛程をひ素イオンの飛程の約2倍にして注入したシリコン(Si1)と、同じ注入量の関係でボロンイオンの飛程をひ素イオンの飛程の約1/2倍にして注入したシリコン(Si2)を、飛程の大きい方の約2倍の深さまで、ボロンが拡散する条件下で熱処理した。Si2中のひ素は、単独のひ素に比べて小さな拡散係数で拡散し、ボロンはひ素の分布するシリコン内に分布し、かつ注入直後の分布と殆んど変わらなかった。一方、Si1中のボロンの殆んどはひ素が分布するシリコン内に分布し、僅か1%くらいのボロンがひ素が分布するシリコン領域を越えてシリコン内に、単独のボロンと殆んど同じ拡散係数でもって拡散した。キャリアは、ひ素とボロンが重なって分布している領域でかつひ素の固溶限界以下では、ポロン1個でひ素3個が不活性化される方法で発生していた。また、シリコンにボロンを注入したのち、熱処理してボロン注入で破壊された結晶格子を回復させたのち、ひ素イオン注入をして熱処理をした。このシリコンのボロンとひ素は、それぞれが単独の場合と殆んど同じ拡散係数でもって拡散した。すなわちこの三つの実験結果から、注入によって破壊された結晶格子が回復する際、ひ素とボロンの原子半径がシリコンの原子半径と比べて大小の関係にあることから、シリコン内の応力が最小になるように再配列するときにひ素とボロンの複合体ができることが推察される。
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