研究概要 |
本研究の目的はユニプロセッサのみならず,粗結合の分散システムや密結合のマルチプロセッサに容易にポ-ティングできる分散オペレ-ティングシステムの構築を行うものである. 本オペレ-ティングシステムの特徴は次の通りである. 1.オブジェクト指向の概念をオペレ-ティングシステムの設計の基本概念にする. 2.非同期遠隔手続呼び出しにより,新たな並行処理のパラダイムを実現する. 3.並行プログラミングの実装をオペレ-ティングシステムが支援できるようにする. オペレ-ティングシステムのカ-ネル部分の評価を適切な手段で行うことが重要である.ここでは各種プログラミング言語を用いそれぞれの言語で実現されたオペレ-ティングシステムの性能比較を行うことにした.使用したオブジェクト指向言語はC++とCOBである.これらとC言語で記述したものとの性能比較を行った.比較した項目はコ-ドの再利用性,メソ-ドおよびメッセ-ジパッシングのクラス階層依存性とメモリ管理である.これらの結果は1991年7月に開かれた情報処理学会のオペレ-ティングシステム研究会,及び1991年10月米国のフェニクスで開かれたOOPSLA'91のワ-クショップRealーTime and Embedded Systemsで“When ObjectーOriented Operating System is Time Critical"という論文を発表した.結果としては,ある緩やかな条件のもとでオブジェクト指向のオペレ-ティングシステムは実時間システムで使用可能であることを示した.
|