研究概要 |
1.時間領域での散乱波測定法の確立:現有の電波無響室の特性を改善した後に,導体球,円柱導体のような標準導体を設置し,散乱体からのパルス応答を測定した.数値計算との比較を行った結果,実験値と理論値とがよく一致することから本測定法の有効性が確認された.2.電磁波による散乱導体の形状推定:(1)一次元形状推定:本研究者らが提案している修正拡張物理光学近似法に基づく形状推定法を,任意の散乱導体に適用した結果,平面波の入射軸に沿って散乱体の表ばかりでなく,裏側の形状も精度よく推定できることが理論的に明かとなった.しかし,入射平面波の偏波によっては推定精度が悪くなる.これを改善することが平成4年度の検討課題として残された.(2)2次元形状推定:入射角を変化させて得られる一次元の形状推定結果を合成することによって散乱体の形状を2次元的に推定する方法を考案し,その有効性を数値シミュレ-ションによって確認した.3.地中埋設物の探査に関する研究:(1)埋設物による電磁波の過渡散乱解析:地中に導体円柱が埋設され,地上にダイポ-ルアンテナあるいはル-プアンテナが置かれている場合の過渡電磁界を理論的・実験的に解析した結果,アンテナが埋設物の真上近傍にある場合には幾何光学波,離れた場合には直達波,ラテラル波およびそれらの合成波によって説明できることが分かった.次に,地中に埋設された導体,誘電体による2次元過渡散乱特性を数値的に解析する手法を開発した.(2)地中埋設物の2次元イメ-ジング:地中の線状電流源の位置を地上からパッシブにイメ-ジングする方法を考案した.この方法は,厳密なイメ-ジング手法であり,全く独自の新しい方法である.次に,このパッシブイメ-ジング法を埋設物のアクティブイメ-ジングに拡張し,その有効性を数値シミュレ-ション・モデル実験によって明らかにした.
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