研究課題/領域番号 |
03452177
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高橋 幸郎 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10124596)
|
研究分担者 |
平塚 信之 埼玉大学, 工学部, 教授 (20114217)
竹内 智 埼玉大学, 工学部, 教授 (50010963)
|
キーワード | マイクロチャネルプレート / 電子増倍 / シリコンエッチング / 化学的気相成長法 / 2次電子増倍膜 / 微細加工 |
研究概要 |
シリコンを用いたマイクロチャネルプレート(MCP)に用いる電子増倍膜として、鉛ガラスを化学的気相成長法(CVD)によりマイクロチャネル内壁面に成膜するための研究を実施した。原料としてテトラエチル鉛(TEL)とテトラメトキシシラン(TMS)またはテトラエトキシシラン(TES)を用いた。CVDによる鉛ガラス組成は、この両者の原料供給量比により任意のものが得られ、またその膜構造は、SiO_2とPbOの粗な結合状態にあるが、熱処理によりガラス化が進行し、溶融ガラス構造に近くなることが、FT-IR分析から明らかになった。 またこの膜の抵抗は、組成や熱処理および水素還元処理条件によって広範囲に変化する。即ち、組成に関しては鉛成分が多いほど、熱処理に関しては処理温度が高いほど低抵抗となる。また水素還元では、鉛成分の多い膜では、還元時間経過と共に抵抗が低下するが、Si成分が多い膜では一旦高抵抗化した後、低抵抗となる。これらのことから、熱処理した膜や、Siに成分の多い膜は、伝導に寄与するトラップが存在し、水素還元処理によりこのトラップが消滅して高抵抗化するものと推測される。これらの結果から、MCPに必要な膜抵抗10^3〜10^5MΩ/sq.とするには、高鉛ガラス膜を水素還元時間の制御により目的とするまで抵抗値を下げるか、Si量の多いガラス膜のトラップを水素還元により消滅して、高抵抗化した後、ガラス表面の還元により必要な抵抗値にまで下げるかのいずれかの方法が選択できる。 高利得を得るための高アスペクト比のMCPのチャンネル内壁に、電子増倍膜を形成するために、新たにチャネル内に原料ガスを強制的に流入させる貫流CVD法を導入した。この方法により従来法では困難であったチャネル深奥部までの均一な成膜が可能となった。試作したアスペクト比17のMCPでは、600Vの印加電圧で54倍が得られた。
|